医療保障を検討する際にがん保険と医療保険の両方に加入する必要があるのかと疑問に感じられた事はないでしょうか?
もしくはがん保険に加入しようと保険相談をしたら営業担当の方から医療保険も一緒に勧められてどうしたらよいか迷われているかもしれません。
がん保険と医療保険はできれば両方加入するに越したことはありませんが保障内容は重複している可能性も考えられます。
そこでこのページではそれぞれの違いから必要に応じて上手な組み合わせについて解説してきます。
がん保険と医療保険の主な違い
がん保険はがんのみ、医療保険はがんを含むすべての病気ケガを対象として入院や手術に対して給付金が支払われるという大きな違いがありますが、それ以外にもいくつかの主な違いがあります。
がん保険 | 医療保険 | |
対象となる保障範囲 | 悪性新生物(上皮内新生物) | がんを含む病気、ケガ |
主な保障内容 | 診断給付金(一時金) 入院給付金 手術給付金 通院給付金 | 入院給付金 手術給付金 |
その他の保障 内容 |
治療給付金 がん先進医療給付金 など | 通院給付金 先進医療給付金 など |
免責(不担保)期間 | ほとんどの場合、90日間 | ほとんどの場合、なし |
1入院あたりの 支払限度日数 |
ほとんどの場合、無制限 | 制限あり(60日、120日など) |
通算入院支払 限度日数 |
ほとんどの場合、無制限 | 制限あり(1,000日、1,095日など) |
がん保険の主な特徴
がん保険も種類が多いので一括りにする事は出来ないのですが、一般的なタイプのがん保険はがん治療に対して診断給付金、入院、通院、手術、放射線、抗がん剤など一部特約を含みつつもまんべんなく保障する事になります。
入院や通院に関しては医療保険が日数制限がほとんどに対してがん保険は日数無制限にてサポートします。
また保障内容での最大の違いは診断給付金の有無が大きいです。入院や手術給付金であれば医療保険でも支払対象ではありますが、こちらはあくまで入院した日数、手術した回数に応じて給付金が支払われます。
その為、治療方法によってはそこまでまとまった給付金を受け取ることができないという可能性も十分に考えられるのですが、診断給付金はがんの診断時点でその後の治療の有無に限らずまとまった一時金を受け取ることができるという点で、もしがんの診断をされた場合にはがん保険がより手厚い保障となります。
医療保険の主な特徴
一方医療保険の場合は主契約が入院給付金、手術給付金であることが多く、入院給付金日額を5000円~1万円などの範囲で自由に調整する事が可能です。
これに連動して手術給付金は入院給付金日額×10倍などに設定される仕組みになります。
ただ昨今の医療保険は主契約以外に特約の種類が豊富なのでかなり自由度の高い医療保険を組み立てる事が可能です。
がん保険と医療保険の必要性について
そこで改めてがん保険と医療保険のそれぞれの必要性を明確にする必要が出てくるのですが、これはご自身が備えたい保障を整理する事でよりわかりやすくなります。
日本人の死因の半数以上は三大疾病
病気やケガの種類は沢山ありますが、実際に医療保険やがん保険は入院手術までをして初めてサポート対象となります。
結果的に当然それなりの重症度であることが予想されます。そこでどんな病気やケガがより入院や手術を必要とするのかという時に参考になるのが日本人の年代別の死因になります。
[性・年齢別にみた死因順位]
グラフではがんを含む三大疾病(がん・急性心筋梗塞・脳卒中)が40代以降では死因の半数以上を占めています。
つまりこれらのデータを参考にがん保険だけではなく医療保険にて三大疾病の治療を強化できる保険を検討する人も多くいます。
三大疾病の平均入院日数
出典厚生労働省平成26年患者調査「退院患者の平均在院日数,年次・傷病大分類別」エクセルデータより抜粋
ただし、三大疾病における平均入院日数はというと、脳卒中(脳血管疾患、脳梗塞、その他の脳血管疾患)に関しては、90日前後での入院期間があるものの、全体的には一回当たりの平均入院日数は短く三大疾病といえども入院日数の強化が必ず必要というわけではありません。
どちらからと言うとがん含め、入院給付金日額の強化より診断時にまとまった一時金を受け取ることが出来る「三大疾病一時金特約」などをおすすめします。
がんの入院治療と通院治療の割合
ただ、三大疾病の中でもがん治療に関してはより治療期間が長期化する傾向にあり、その治療行為は入院ではなく通院による治療が積極的に行われています。
グラフでは平成5年を境に入院を逆転している事がわかります。
がんの治療期間は長期化していても、入院自体は減少し、通院は増加している為、がん保険では通院の保障を強化しても間違いではない事がわかります。
パターン別がん保険と医療保険の組み合わせ方法
以上の内容を踏まえやはりがん保険だけの加入で問題ないと考える方はそのままがん保険を選んでいただく形でも構いません。
がん保険と一緒に医療保険も組み合わせで検討しようという場合はそれぞれの保障の重複などを考慮しつつ、上手な組み合わせが理想です。
そこで例として3パターンでの組み合わせ例を紹介します。
- パターン1:保障の重複無し合理的プラン
- パターン2:がん診断給付金+医療保険プラン
- パターン3:がん診断給付金+がん通院+三大疾病一時金+医療保険プラン
必ずどの保険商品でも自由な組み合わせが出来るわけではないので考え方の参考としてご理解ください。
パターン1:保障の重複無し合理的プラン
所謂、一般的ながん保険と医療保険の組み合わせですが、医療保険では主契約に手術や放射線治療の保障が準備されているケースが多いです。
そこでがん保険に付加される手術や放射線治療が特約として取り外しが可能であればこの部分を外すことで、一部保障の重複を無くしつつもがん保障については入院給付金日額でがん保険と医療保険、両方からの給付を受けられる体制になります。
がん保険 | 医療保険 | |
がん診断給付金 | 50万~100万円など | 無し |
入院給付金 | 5000円~1万円など | 5000円~1万円など |
通院給付金 | 5000円~1万円など | 無し |
手術・放射線治療給付金 | 無し | 5万円~10万円など |
抗がん剤治療特約 | 5万~1万円/月など | 無し |
先進医療特約 | 無し | 自己負担を全額保障など |
パターン2:がん診断給付金+医療保険プラン
がん保険に関しては入院給付金などの治療に対する保障がない診断給付金メインのがん保険と医療保険を組みわせるパターンです。
がん保険 | 医療保険 | |
がん診断給付金 | 50万~100万円など | |
入院給付金 | 無し | 5000円~1万円など |
通院給付金 | 無し | 特約で選択 |
手術・放射線治療給付金 | 無し | 5万円~10万円など |
抗がん剤治療特約 | 無し | 無し |
先進医療特約 | 無し | 自己負担を全額保障など |
入院手術、その他の治療にかかる保障は医療保険で準備しつつがんの診断給付金のみ単独で組み合わせる方法です。パターン1よりも合理的でシンプルな組み合わせです。
パターン3:がん診断給付金+がん通院+三大疾病一時金+医療保険プラン
診断給付金メインのがん保険に特約でがん通院保障を追加。医療保険では三大疾病一時金特約を組み入れたパターンです。
がん保険 | 医療保険 | |
がん診断給付金 | 50万~100万円など | |
三大疾病一時金 | 無し | 50万~100万円など |
入院給付金 | 無し | 5000円~1万円など |
通院給付金 | 5000円~1万円など | 無し |
手術・放射線治療給付金 | 無し | 5万円~10万円など |
先進医療特約 | 無し | 自己負担を全額保障など |
日本人に多いとされる三大疾病に関してはがん保険と医療保険にて一時金特約でカバーしつつ、がん治療は通院保障も強化。
合理的でありながら結果として手厚い保障の組み合わせを実現しています。
なおあえて、がん保険と医療保険の組み合わせ例として紹介していますが、特約が複数用意されている医療保険などでは医療保険のみでこれらのプランを実現可能です。
例えば損保ジャパン日本興亜ひまわり生命の「新・健康のお守り」などは10種類近くの特約からがん保険無しでも、がん治療、三大疾病をカバーできる特約が用意されています。
このページのまとめ
上記の組み合わせ例はあくまで参考として作ったものなのでどの保険会社の商品でも同じ組み合わせができるかと言われると難しいです。
ただし、がん保険も医療保険も各社より本当に沢山の種類が発売されており、その一つ一つは個人の要望に合わせて細かなカスタマイズが可能になっています。
例えば現在加入しているor相談している保険会社では細かなプランニングが出来ない場合でも複数の保険商品を比較検討しながらプランニングをすれば間違いなく要望にあった保険選びが可能です。
そのためには一社専属の保険外交員への相談ではなく、複数の保険商品を取り扱う全国の保険ショップやプロのファイナンシャルプランナーによる無料相談が最もおすすめです。
医療保険やがん保険で希望にあった自由なプランを選択希望な方は是非保険の無料相談サービスをご活用ください。
その他のがん保険の保障内容に関しても以下のページで各項目毎に必要性なども含めて解説しています。