医療保険はお金を払えば誰でも加入できる訳ではなく、保険会社は契約する人を選ぶことになります。これは「契約者間の公平性」を保つためであり、主に3つの基準があります。
- 「身体上の危険」
- 「環境上の危険」
- 「道徳上の危険」
以上の3つになります。各保険会社単位で多少の違いはあっても基本的にはこの基準をもとにその人と契約するかどうかを審査することになります。ではこれらの基準を具体的に加入者の職業や、体の状態で確認していきます。
医療保険に加入できる職業とできない職業とは
医療保険を含め保険会社はその他に比べて極端に危険が伴う職業の人は「危険職種」として加入を制限する場合があります。各社共通というわけではありませんが、一般的には「F1レーサー」や「格闘家」の場合が該当します。
危険職種に該当する職種
- 空手家
- K-1選手
- 探検家
- プロボクサー
- プロレスラー
- ラグビー選手
- 登山家
- テストドライバー
- レーサー
- アイスホッケー選手など
医療保険は無職でも入れるのか?
では、無職の場合はどうかというと、「引き受け不可」として契約しない保険会社が多いです。そもそも一時的であれ無職=無収入ということであれば、毎月の保険料を支払う事自体が疑問視されます。また実際は働いていなくても、不動産オーナーのような収入がある場合は無職ではなく「資産家」などの職業になり、加入する事が可能となります。
無職に該当する職種
- 求職中
- 失業者
- 就職浪人
- ニート
- 生活保護中
- ボランティア
- 資格試験勉強中など
医療保険は主婦は加入できるか?
また収入を得ていない主婦(主夫)でも収入のある配偶者がいる場合は加入制限はありません。独身などで「家事手伝い」の場合は保険会社によって、その他条件を考慮して契約できる場合もありますし、「無職」と同一に判断され加入できないケースもあります。
海外赴任予定の場合は
制限職種に該当しなくても、近いうちに海外への赴任が決定している場合は赴任期間や赴任国などを総合的に判断しての各保険会社が決めることになります。
この場合でも毎月の保険料は国内の金融機関からの引き落としが可能であったり、保険会社からの郵送物などは国内の住所を指定するなどの条件をクリアすることで、加入できる場合もあります。
医療保険に加入できる年齢と上限について
加入の年齢に関しては各社バラつきがありますが、最年少であれば0歳から加入可能な保険会社も存在します。上限についても高齢化社会を反映して最高で85歳まで加入できるところがあります。正確には保険会社によって5歳からとか80歳までというように違いがあります。
医療保険には病気持ちでも加入できるのか?
職業による加入制限が、「環境上の危険」や「道徳上の危険」の基準を表しているのに対して、「身体上の危険」を判断する為に健康状態の確認が大きな判断材料になります。
各保険会社はその確認として健康状態などを確認する「告知書」を使って、保障の対象者の体の状況=体況(たいきょう)を確認します。もちろん何の病気もなく健康であれば問題なく加入できる訳ですが、仮に病気の場合でもまったく加入できないというわけではありません。今現在治療しているのか、治療はしていないのかなど、状況はさまざまです。
治療中の場合
現在、病名などが確定していて医師による【投薬】【注射】【手術】【放射線治療】【心理療法】などを定期的に受診している状態を主に治療中となります。各保険会社はそれぞれ契約をするかどうかの引き受け基準を設定しており、その病気の内容や治療の状況によって契約できるか判断することになります。そのため、この場合は申し込み審査をしてみる必要があります。ただ一般的に、ガンなどの重度疾病や精神病関連などの場合は加入できない場合が多いです。
審査をするまでもなく引き受けの目安からみても加入が難しい場合には持病がある人でも特定の質問項目に該当しなければ加入できる医療保険=緩和型医療保険がありますのでそちらを検討することになります。
過去に治療していた場合
治療が終了=【診療完了】している場合は、診療完了からどの程度時間が経過しているかが重要になります。一般的に保険会社の告知書では5年以内の健康状態を質問されます。そのため診療完了から5年以上経過している場合には、答える項目がない=全て「いいえ」を選択する可能性があります。
ただしよくある注意点として、診療完了の定義が曖昧な場合があります。保険会社側が定義している「診療完了」は医師が治療や経過観察が必要ないと告げた場合をいいます。その時点から一切の治療をしていない(投薬・定期検査・通院など)状況で5年経過しているかどうかです。手術をしてから5年経過ではありません。また医師からは診療完了を言われていなくても自分の判断で治療をやめた場合はそれにあたりません。
診療完了から5年経過の定義
- 手術から5年経過 = ×
- 自分の判断で治療をやめて5年 = ×
- 医師から診療完了を言い渡され、5年経過 = ○
経過観察中の場合
現在積極的な治療はしていないまでも、定期的(1年に1回程度も含む)に診察や検査が必要と医師から指示されている状態が【経過観察中】になります。この場合は診断確定のための定期検査の場合もあり、病名自体が確定していない場合もあります。その場合は詳細に「○○の疑い」や「○○の数値を確認するために定期的な検査」などの記載を行います。
治療しているわけではないので、申告漏れしてしまう場合も多々ありますが、一般的な告知書では「2年以内の医師から検査を進められ・・・」というな項目がある為、気になる部分はありのままに記入します。
医療保険には高血圧でも入れるか
30代中盤、早い人では20代後半くらいから、健康診断等で数値の指摘などがされ始める「高血圧」に関して不明な部分が出る場合があります。これは、高血圧がはっきりと【高血圧症】や【高脂血症】のような診断確定をされていない場合がある為です。いずれも現在の血圧の数値などで加入できるか、特定条件がついて加入できるかまったく加入できないかが決まります。
高血圧で既に投薬を受けている場合
薬を飲んでいる場合には詳細を記載するのがおすすめです。
- 薬名
- 投薬量mg/回数など
- 投薬年数
一般的な傾向として、高血圧のみで医療保険に加入できないという事は少ないと思われます。
審査結果について
これらで上げた3つの基準より保険会社は総合的な判断をして、契約の選択を行います。主な判断材料は告知書になりますので、やはり告知する内容は非常に重要になります。
承諾
審査した結果、問題なく契約になる場合は【承諾】となります。保険会社の郵送物や担当の営業の人から「無事成立しました。」などと言われる場合がこのケースです。
不承諾
告知書による審査の結果、契約をしない場合は【不承諾】となります。この際、先に保険料=掛け金の支払いをしている場合などは返金されます。
条件付き承諾
承諾と不承諾の間にあたるのが【条件付き承諾】になります。まったく問題なく契約はできないけど一定の条件を入れる事で契約を行う仕組みです。保険会社はこれによって、健康な契約者との公平性を保ちます。この場合何の断りもなく手続きが進むわけではなく事前に条件内容の連絡が契約者に届くので内容を判断してから、条件を受け入れる場合にはその旨、返事をする事になります。
特定部位不担保
告知内容より、例えば「胃・十二指腸」のみ契約後一定期間保障しないというような特定の体の部位を外す契約になります。
特定疾病不担保
例えば「子宮筋腫」や「子宮内膜症」による入院、手術は契約後一定期間保証をしないというケースです。
割増保険料
通常の保険料よりも程度に応じて保険料を高くする事で、公平性を保つケースです。
一度断れても再度加入できるか?
過去に医療保険の加入を不承諾として契約できなかった場合でも、例えば先にあげているように診療完了から5年間、何の治療もしていない場合などは、告知の質問自体に該当しない場合もあります。またおおよその一般論として医療保険の引き受け基準は各社近しい可能性はありますが、それでも会社によって、判断基準は異なります。つまり
引き受け基準の例
- A社 = 不承諾
- B社 = 条件付き承諾
- C社 = 承諾
という事もあり得ますので、例えば現在申し込み手続きをした1社のみで「不承諾」というような場合には、複数の保険会社の商品を取り扱う乗り合い代理店といわれるような代理店で再度相談するのが最もおすすめです。
ガン保険の加入条件について
医療保険の加入が難しい場合でも、ガン保険に関しては無条件で契約できる場合があります。医療保険はガンも含めた病気・ケガをまんべんなく保障するのに対して、ガン保険の対象はガン治療のみとなる為、告知する項目も限定的となります。
このページのまとめ
医療保険の加入条件としては各社多少の違いはあるものの、明らかな無職=無収入や特異や危険職種(格闘家など)を除いて年齢も0歳から最長85歳くらいまで加入が可能です。健康状態に関しては、人それぞれ症状のレベルも異なる為、一般論でまとめることが難しいです。加入できるかどうかを確認するには最終的に申し込み手続きをして審査をする必要があります。そこで事前の情報として、複数の保険会社の商品を扱っている保険代理店で、比較検討することが結果的に効率のよい医療保険につながると考えます。