あなたは「傷病手当金」というものをご存じですか?
医療保険の保障内容を検討するにあたっては、すでにある公的医療保障制度を理解したうえで、自分にとって必要だと思う保障内容を納得できるプランで検討するのが大切です。
そこで、このあまり聞きなれない「傷病手当金」ですが、医療保険を検討する際には公的医療保険制度の一部としてプラン設計に役立ちます。
このページでは医療保険の検討における「傷病手当金」について紹介してきます。
傷病手当金とは
傷病手当金はサラリーマンなど健康保険に加入している場合にのみ保障されているもので個人事業主など国民健康保険に加入している方は対象にはなりません。
傷病手当金の主な内容
- 業務以外の病気やケガで仕事を休む場合に支給される
- 給料の約6割(2/3)が最長1年6カ月間支給される
- 会社員や公務員が対象
業務以外での病気やケガで仕事ができない場合
業務中や通勤途中にて病気やケガにあった場合は、「労災」となり労災保険が対象となります。これに対して傷病手当金は、業務外の病気やケガを対象としています。
給料の約6割が最長1年6カ月にわたって支給される
給付される金額は自分が受け取っている給料の約6割となります。正確には後述する「標準報酬月額」を30で割った標準報酬日額に2/3を掛けて算出します。
給付期間は働けない期間が続く限り最長で1年6カ月となります。
会社員や公務員が対象
協会けんぽや各種健康保険組合などサラリーマンや公務員を対象としています。国民健康保険には仕組み自体がありません。
傷病手当金が支払われる状態とは
では具体的に支払い対象となる人の状態を確認していきます。
- 業務外の病気やケガの入院や自宅療養で治療をしている状態
- 今まで従事していた業務ができない(労務不能)状態
- 4日目以降も働くことができない(待期期間)状態
- 休業中に勤務先より傷病手当金以外の報酬を得ていない状態
業務外の病気やケガの入院や自宅療養で治療をしている状態
病気やケガの治療の為に働けない状態は必ずしも入院しないといけないわけではありません。この場合は自宅療養にて定期的な通院による治療の場合も対象となります。
今まで従事していた業務ができない(労務不能)状態
病気やケガにより、働けない状態は、それまで行っていた業務ができない状態=労務不能を指します。例えば、病気やケガでいままでの業務はできないけど、違う業務はできるから傷病手当金が支給されないという事にはなりません。
4日目以降も働くことができない状態
傷病手当金は、病気やけがで仕事を連続3日休んだ後、4日目から支給となります。 最初の3日間が、「待機期間」となり、連続している必要があります。
休業中に勤務先より傷病手当金以外の報酬を得ていない状態
傷病手当金は働けない期間の給料を一部保障する仕組みの為、働けなくても会社から給料を受け取っている場合は支給されません。例えば有給などを利用して給料を受け取っている場合など。
傷病手当金はいくらもらえる?
では実際傷病手当金はいくらもらえるのか?という部分ですが、こちらは定額ではなくその人の報酬に比例して支給される金額が異なります。
傷病手当金の算出条件
傷病手当金は「標準報酬日額」の2/3相当となります。標準報酬日額とは健康保険料の算定する際に利用する標準報酬月額を30で割ったものです。
標準報酬日額 = 標準報酬日額 ÷ 30
標準報酬月額とは
標準報酬月額は勤務先から受け取る「報酬」の一定期間の平均を元に等級に応じて金額が決定します。
報酬に該当するもの
では実際に「報酬」とみなされるものはどんなものがあるかというと
- 基本給
- 交通費(通勤手当)
- 各種手当(残業、家族、住宅手当等)
- ボーナス(年4回以上で規定に組み込まれている場合)
などがあげられます。ボーナスなど年4回以下の支給であれば含まれませんが、四半期ごとに分けられている場合などは会社によっては対象になる場合もあります。
計算の対象期間について
毎年4月・5月・6月の3カ月間の「報酬」の合計から平均を出し、その年の9月から翌年の8月までが対象となります。
自分の標準報酬月額を確認するには
実際に自分自身の標準報酬月額を確認するには毎月の給料明細が便利です。
こちらに健康保険料として引かれている金額を確認し、それを元に対応する保険料額表で確認するか保険料率で割れば、自分の等級から標準報酬月額を把握する事が可能です。
例として協会けんぽの場合はこちらを確認してみてください。
リンク協会けんぽ「平成28年度保険料額表」
このページのまとめ
傷病手当金はサラリーマンのみが対象という事もあり「高額療養費制度」よりも認知度が低い可能性があります。サラリーマンにしてみると医療保険を検討する際の1年半という長期間にわたる大きな保障制度となる為、実際に自分が仮に働けなくなった場合に「傷病手当金」がいくら受け取れるのか大体の把握をするのは重要かと思います。
逆に個人事業主やフリーランスの方は「傷病手当金」に該当するものを医療保険を含め、必要と思う保障を検討するのも良いかと思います。
医療保険の入院日額のプラン設定についてはこちらで詳細を解説しています。合わせてご確認ください。
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