契約者側からするといまいち理解できない保険料控除ですが、もし医療保険の加入検討をしており、保険料の設定や契約者(=保険料を支払う人)を決めかねている場合などもありますね。
年末調整で改めて保険の見直しを検討している方は、大体の概要を把握していただき、医療保険選びの参考していただけるように、「保険料控除」について紹介しています。
医療保険の保険料控除とは
医療保険に加入している場合、年間で支払った保険料に応じて一定金額を所得から控除(=減らす)する事ができ、後ほど還付されます。これを保険料控除と言います。
【所得税】と【住民税】は収入から扶養控除や給料所得控除を差し引いた「所得」に対して一定の税率を掛けて算出される為、「所得」が下がればそれだけ、支払う税金が少なるという仕組みです。
現在保険料控除には、保険の契約をした年月によって旧制度と新制度の2種類が混在しており、それぞれ控除の対象となる保険種類と金額の上限が異なります。
旧制度:平成23年(2011年)までの契約
平成23年までに行った保険契約は保険料控除が旧制度として適応されます。
旧制度の控除種類
一般生命保険料控除 | 生存または死亡に起因して支払う保険金・その他給付金に係る保険料(死亡保障)と医療保障 |
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個人年金保険料控除 | 個人年金保険料税制適格特約を付加した個人年金保険 |
旧制度の年間の支払い保険料と控除額
所得税 | 住民税 | |||
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区分 | 年間払込保険料額 | 控除される金額 | 年間払込保険料額 | 控除される金額 |
一般生命保険料 ・ 個人年金保険料 (税制適格特約付加) |
25,000円以下 | 払込保険料全額 | 15,000円以下 | 払込保険料全額 |
25,000円超 50,000円以下 |
(払込保険料×1/2) +12,500円 |
15,000円超 40,000円以下 |
(払込保険料×1/2) +7,500円 |
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50,000円超 100,000円以下 |
(払込保険料×1/4) +25,000円 |
40,000円超 70,000円以下 |
(払込保険料×1/4) +17,500円 |
|
100,000円超 | 一律50,000円 | 70,000円超 | 一律35,000円 |
新制度:平成24年(2012年)以降の契約
平成24年1月以降の保険契約や更新分からは新制度として保険料控除が適応されます。
新制度の控除種類
一般生命保険料控除 | 生存または死亡に起因して支払う保険金・その他給付金に係る保険料(死亡保障) |
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介護医療保険料控除 | 入院・通院などにともなう給付部分に係る保険料(医療保険・がん保険・介護保険など) |
個人年金保険料控除 | 個人年金保険料税制適格特約を付加した個人年金保険 |
新制度の年間の支払い保険料と控除額
所得税 | 住民税 | |||
---|---|---|---|---|
区分 | 年間払込保険料額 | 控除される金額 | 年間払込保険料額 | 控除される金額 |
一般生命保険料 ・ 介護医療保険料 ・ 個人年金保険料 (税制適格特約付加) |
20,000円以下 | 払込保険料全額 | 12,000円以下 | 払込保険料全額 |
20,000円超 40,000円以下 |
(払込保険料×1/2) +10,000円 |
12,000円超 32,000円以下 |
(払込保険料×1/2) +6,000円 |
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40,000円超 80,000円以下 |
(払込保険料×1/4) +20,000円 |
32,000円超 56,000円以下 |
(払込保険料×1/4) +14,000円 |
|
80,000円超 | 一律40,000円 | 56,000円超 | 一律28,000円 |
保険料控除で下がる税金はいくら?
具体的にどの程度税金が少なくなるのかという部分についてですが、年収によって所得税率が人それぞれの異なる為、一律でいくらと案内できないのですが、ほぼ大多数の方は所得税率10%。高収入で独身などの場合であれば所得税率20%も考えられます。住民税に関しては一律10%です。
税率によっても異なりますがおおよそ
合計 6,800円 が減額されます。
所得税の速算表(平成27年分以降)
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
所得税率が10%と住民税率が10%の場合
所得税の最大控除額の4万円×10%=4,000円。
住民税の最大控除額の2.8万円×10%=2,800円。
合計 6,800円 が減額されます。
※所得税に関しては還付。住民税に関しては翌年の住民税から減額となります。
保険料控除の申告方法
保険料控除は契約している保険会社より毎年10月~11月にかけて「保険料控除証明」が郵送にて登録の住所に送られてきます。
年末調整での保険料控除の場合
サラリーマン等、会社員の方は会社から配られる「給与所得者の保険料控除等申告書」に「生命保険料控除証明書」を添付して提出すれば、年末調整で控除を受けられます。
確定申告での保険料控除の場合
自営業の方などは会社での年末調整を行わない為、個々の確定申告を実施するタイミングで「生命保険料控除証明書」を併せて提出します。
このページのまとめ
毎年の年末調整のタイミングでなんとなく提出している保険料控除証明も仕組みを理解すれば、保険の見直しのタイミングや新規加入において、契約者を夫婦それぞれにする事で、全体の控除額を増やすことができる可能性も多々あります。
年一回程度の作業の為、忘れがちですが、医療保険を選ぶ材料として、保険料控除を考慮しても良いと思います。